2018年1月30日火曜日

ハーモニー 2015 日本

監督:なかむらたかし マイケル・アリアス
出演:

2009年に34歳という若さで早逝した、
伊藤計劃(いとう けいかく)の2008年の2作目をアニメ化した作品。
世界を滅ぼしかけた「大災禍」と呼ばれる出来事を経て、
超高度管理社会を作り、平和を創り出した世界。
しかし、その事に疑問を抱いた少女たちが現れ・・・、という話。





この物語の中心人物の一人は「御冷ミァハ」という少女で、
彼女は感情の無いDNAを持つ種族に生まれ、
兵士たちの慰め者となっていたが、
その悲惨な出来事の途中で感情が生まれ、
救い出されて超高度管理社会の中で生きる事になる。

しかし、元いた世界が悪意で人を殺す世界ならば、
超高度管理社会は善意で人を殺す世界で、
悪意であれ善意であれ、感情が人を苦しめるのであれば、
感情(自我意識)を無くし、合理的な行動しかできなくなる、
「ハーモニー」というシステムを起動させる、
という事をミァハは目論むようになる。

という事で、学生時代の友達もであり、一緒に死のうとした、
しかし、ミァハだけが死んでしまったと思ってトラウマになっていた、
螺旋監察官という仕事をするようになっている「霧慧トァン」が彼女を追い駆け、
最後にミァハとトァンは対峙する事になる。
そして、「ハーモニー」システムの起動は避けられなかったが、
そちらの世界には行かせない、という事で、
トァンはミァハを殺す、という事でこの話は終わる。

この話は、伊藤計劃の作品としてはデビュー作であり、
企画「Project Itoh」のアニメ化作品としては3作目である、
「虐殺器官」のその後にあたる世界であるらしく、
平和のための管理社会、その是非、という同じテーマであると言える。
未来性というよりも、理想的な人間社会というのは、
暴力や残酷性に溢れていても自由で感情的な世界であるべきなのか、
それとも、自由や感情を抑制して暴力や残酷性の無い世界であるべきなのか、
SFでは定番になっているテーマではあるが、
そこを問うていると言える。

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