2022年8月22日月曜日

ドライブ・マイ・カー 日本 2021年

 監督:濱口竜介

脚本:濱口竜介 大江崇允

撮影:四宮秀俊

音楽:石橋英子

出演:西島秀俊 三浦透子 霧島れいか 岡田将生 パク・ユリム ジン・デヨン


ドライブ・マイ・カーは、とても「わかりやすい」物語。


時系列が行ったり来たりすることも無く、

立ち直り、再生がテーマとなっている。


何が何を比喩しているのかも「わかりやすい」。


ドライブ・マイ・カーは村上春樹の短編小説を原作にしているが、

喪失からの立ち直り、その過程にある出会いと過去と向き合う自問自答、

という村上春樹テイストを、しっかりと味合うことができる。


見えなかった、見ようとしなかったことに向き合い、

苦しくても辛くても、その傷や罪を受け入れて生きていく。

やがて、その人生が幕を下ろすまで。


更には「演技論」も盛り込まれていて面白い。


テキスト(脚本)を繰り返し繰り返し読み込むことで、

セリフを覚えるのではなく自分のモノにしていく。

役の言葉ではなく自分の言葉にしていく。


そうすることで、まずは役者の間に何かが生まれ、

次に、それを観る人に届けようとすることで、

観る人との間にも何かが生まれる。


それが「伝わる」ということであり「わかりやすい」にもつながる。

観る人を作品に引き込み、作品に没入させる。


つまり、村上春樹テイストと演技論、

その2つの要素を見事にリンクさせたのがドライブ・マイ・カーであり、

3時間という長さを感じさせない良作に仕上がっている。