監督:濱口竜介
脚本:濱口竜介 大江崇允
撮影:四宮秀俊
音楽:石橋英子
出演:西島秀俊 三浦透子 霧島れいか 岡田将生 パク・ユリム ジン・デヨン
ドライブ・マイ・カーは、とても「わかりやすい」物語。
時系列が行ったり来たりすることも無く、
立ち直り、再生がテーマとなっている。
何が何を比喩しているのかも「わかりやすい」。
ドライブ・マイ・カーは村上春樹の短編小説を原作にしているが、
喪失からの立ち直り、その過程にある出会いと過去と向き合う自問自答、
という村上春樹テイストを、しっかりと味合うことができる。
見えなかった、見ようとしなかったことに向き合い、
苦しくても辛くても、その傷や罪を受け入れて生きていく。
やがて、その人生が幕を下ろすまで。
更には「演技論」も盛り込まれていて面白い。
テキスト(脚本)を繰り返し繰り返し読み込むことで、
セリフを覚えるのではなく自分のモノにしていく。
役の言葉ではなく自分の言葉にしていく。
そうすることで、まずは役者の間に何かが生まれ、
次に、それを観る人に届けようとすることで、
観る人との間にも何かが生まれる。
それが「伝わる」ということであり「わかりやすい」にもつながる。
観る人を作品に引き込み、作品に没入させる。
つまり、村上春樹テイストと演技論、
その2つの要素を見事にリンクさせたのがドライブ・マイ・カーであり、
3時間という長さを感じさせない良作に仕上がっている。
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