出演:黒木華 綾野剛 Cocco
里中真白の母親が突然脱ぎだすシーンが、
一番の感動ポイントだった。
娘の人生、娘の存在、それを最後まで理解できなかった、
それを最後まで理解してあげられなかった母親の苦しさ、怒り、嘆き、
その全ての感情がそこにあった。
しかし、そこをベタベタのお涙頂戴にするのではなく、
そこにユーモアも入れるのが岩井俊二のセンスの良さで、
安室行舛も脱ぎ出した時には、「なんでお前も脱ぐんだよ!」、
とツッコミを入れたくなる。
この物語の本当のヒロインはCoccoが演じる里中真白で、
黒木華が演じる皆川七海は里中真白を語る存在でしかない。
言ってみれば皆川七海は偽りのヒロイン。
前半部の皆川七海の物語は、
どうやって綾野剛が演じる安室行舛と知り合い、
どうやって里中真白と関わるようになったのか、
という事と、
安室行舛がどういう人物なのか、
という事を描いているに過ぎない。
だから皆川七海には主体性というものが全くない。
つまり、この物語は、
皆川七海という脇役からの視点で、
里中真白と安室行舛の物語を描いていると言える。
そして、この物語のもう一人の主人公は安室行舛であり、
里中真白と皆川七海を変えれば、また別の物語が作れる。
ちなみに、この作品の構成は、
『花とアリス』に似ているなと。
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