2017年10月27日金曜日

怒り 2016 日本

監督:李相日
出演:渡辺謙 妻夫木聡 宮崎あおい 森山未來 松山ケンイチ 綾野剛 広瀬すず

何に対する「怒り」だろうか? 不公平であったり不条理であったりする世の中に対する怒り? 人を信じられなかったことに対する怒り? 信じていた人に裏切られてしまったことに対する怒り? 但し、どれに対する怒りであったとしても、むしろその時に起こる感情は怒りよりも「嘆き」なのではないかと思うし、登場人物たちの最後の「叫び」や「慟哭」も、やはり「怒り」よりも「嘆き」であるように感じた。
そして、ストーリーや演出、構成にも不満を感じた。1つには、「怒り」がテーマであると最初からわかっているので、真犯人は誰か、という事に対し、それほど興味を持てない部分。もちろん、気にはなるし、それがストーリーを最後まで引っ張っているのは確かだが、結局、最後に犯人がわかっても、そのことに重要さを感じられないし、そもそも、ミステリー的な構成になっていないので、そういう意味では騙された気分になる。
それから、妻夫木聡と綾野剛のBLな濡れ場であったり、広瀬すずがレイプされるシーンであったり、そういうもので話題性を作り出そう、インパクトを作り出そう、というのがあからさまで、テーマ性を考えた時に、絶対に映像として、シーンとして描かなければならないシーンではないし、むしろ、テーマ性の邪魔になっていたと思う。更には、感情の爆発、怒り、嘆き、という事の表現が、泣き、叫ぶ、そして、大音量のBGMと、あからさまでストレートすぎるところがあり、逆に冷めてしまうところがあった。

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