2017年10月27日金曜日

溺れるナイフ 2016 日本

監督:山戸結希
出演:小松菜奈 菅田将暉 重岡大毅 上白石萌音

テイストがバッラバラ。出雲を連想させる浮雲という地名。鳥居がある泳いではいけない海。神さん。授業中にちょろっと出てくるイザナギノミコトの話。菅田将暉が演じる長谷川航一朗(コウ)の神話的な造形。お面を付けて踊る神楽。そして、水の中のシーンなど、映像(ビジュアル)は幻想的なテイスト。しかし、物語は、都会から田舎に来た美少女が、ミステリアスで野性的な、つまり、ちょっと特別感のある少年と出会い、というベタな青春ラブストーリー。ある事をきっかけにその恋愛が上手くいかなくなったり、ヒロインに思いを寄せる別の男の子とのエピソードがあったり、という要素もベタな青春ラブストーリー。更には、コウを壊し、重岡大毅が演じた大友勝利も振り回し、熱狂的なファンの1人がストーカーになって2回も夏芽をレイプしようとした挙句に最後は自殺したり、小松菜奈が「渇き」という作品でも演じた悪魔的な美少女のテイストも望月夏芽にはあり、とにかく様々なテイストがごっちゃまぜ。他にも、二次元の世界では流行りのドS男子のテイストがコウにあったり、いわゆる高校デビューした女友達的なあるあるが上白石萌音が演じる松永カナにあったり、コウと夏芽がほぼ終始シリアスなのに対し、大友はほぼ終始コメディ的であったり、メインテーマの曲は幻想的なのに、挿入歌はポップな感じだったり、とにかくテイストがぐっちゃぐちゃ。ラストも、神話的であり、青春ラブストーリー的であり、シリアス的であり、コメディ的であり、というのを、とりえず全部詰め込んで、という感じだった。従って、観終わった時の感じとしては、同時に日本食もイタリア料理もフランス料理もその他の国の料理も食べてしまって、結局は、あまり美味しくなかった、という感じ。17日間という短い撮影期間の中で、「溺れるナイフ」という原作の大枠をベースにしながら、とにかく「~的」なものを「瞬間的な美学」を追求して感性の赴くまま撮り、それを何とか観られる作品として編集して完成させたのかな、という印象だった。つまりは、無理があった作品、という事かなと。

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