2019年10月10日木曜日

寝ても覚めても 2018 日本/フランス

監督:濱口竜介
脚本:田中幸子 濱口竜介
撮影:佐々木靖之
音楽:tofubeats
出演:東出昌大 唐田えりか 瀬戸康史 山下リオ 伊藤沙莉 田中美佐子


恋愛物語ではないような気がする。

結局、麦を選ぶのか、亮平を選ぶのか、というのは、
朝子がどのような生き方を、人生を選ぶのか、という事であって、
麦と亮平、どっちの方が好きなのか、という事ではないと思うから。

つまり、安定を選ぶのか、そうではないのか、という選択。




物語の帰結としては、安定を選び、
その方を良しとするような感じになっているが、
それは1つの価値観に過ぎないと思う。

結局、そちらの方が幸せになれる、幸せである、という1つの価値観。

あるいは、少女から女性になる、子供から大人になる、
というのは、そういう事であって、
それが正しい事である、という1つの価値観。

もし朝子が麦を選んだとして、それは本当に許されない事なのだろうか?

結局それは、どちらが正しいのか、という事ではなく、
朝子が自分の意思でどちらの生き方を選ぶのか、選んだのか、
という事なだけであって、それ以上もそれ以下も無いような気がする。

従って、『寝ても覚めても』は、恋愛物語ではないと思う。

麦と亮平は、生き方以外は瓜二つである、という設定であるのも、
生き方以外の要素で、どちらの方が好みである、
という違いを作らないためだと思う。

朝子は麦も亮平も同じぐらい好きで、その反対もそうである、という事もそう。

それから、大阪の女友達と東京の女友達が出てくるが、
結局は、大阪の女友達も幸せになっているし、
つまりは、そういう生き方も有り、という事なのではないだろうか。

濁った川を汚いと思うか、それでも綺麗だと思うか、感じ方は人それぞれ。

もしかしたら、朝子が亮平を選んだ理由は、
北海道で暮らしたくなかった、という事かもしれない。
無表情な朝子の真意は何か、その無表情さが答えなのかもしれない。

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